ボクはパソコンがほとんど使えません。できることと言ったら、キーボードのひらがなを目で追いかけ、人さし指でたどたどしく一文字一文字押すのがやっと(笑)。
ここに掲載される内容は、口述。メールでコメントをいただいても、電話やFAX 、ハガキで返事をします。これまた口述で、社員にメールで返信してもらうこともあるけど、ボクは、アナログでとても不便な男です。
3月11日の東日本大震災では、公共公益設備や通信設備が完全に寸断され、みなさまからの安否を気遣うメールや励ましのメールをいただいてから、実際に目にすることができたのは、約1ヶ月後のことでした。
お礼のメールを(口述で)しようにも、今度は回線接続が安定せず、メールでの返信を断念し、手紙やハガキ(←これも、その時に手に入れられたもので、手紙 になったりハガキになったり、はたまたコピー用紙だったり…)で返事を書き始めたのは、4月下旬になってからのことでした。
手紙やメールに返事をするというのは、本来ボクがやらなければいけない仕事だったでしょう。書いたり、陸前高田市を離れて 電話できる場所では、電話連絡したりしましたが、みなさまからの励ましはとても多くて、ボクのスピードが追い付かず、ボクが目を通したものから社員に返事 を書くことをお願いしました。
口述じゃないし、ゴーストライター、スピーチライターでもないから、「○×○×…ボクは河野和義です。」という文面は書けない。だから、社員がそれぞれ名 乗って、震災前は八木澤商店でどんな仕事をしていたかを綴り、みなさまからの励ましにどれだけ勇気づけられ、ありがたかったかを、お礼の言葉にする。
それを社員全員でおこない、ある程度の目処がたつまでに、何日も何日もかかりました。
みなさまからの励ましは、本当に嬉しかった。
ありがとうございました。
みなさまは、みなさまからの励ましは、ボクの、八木澤商店のたからもの。
そして、返事に正直に胸の内を綴り、それでも頑張る、と書いた社員たちも、ボクのかけがえのないたからもの。
そういう、目に見えないつながりだったり、寄り添ってくださる気持ちが、こんなにもいとおしく思うこともそうないんじゃないだろうか。
震災後、ボクはますます涙もろくなった。変わったところはいっぱいあるけれど、パソコンが使えないのは、相変わらず(笑)。
このままアナログ人間でいこう。
みなさま、残暑お見舞い申し上げます。
猛暑の夏、ボクは元気です。