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八代目、物思いにふける

六ヶ所村ラプソディー その後

 六ヶ所村のことを書いたのが、4月のことだったんだね。9ヶ月も経っちゃった。筆不精はパソコンになっても変わらないや。ごめんなさい。きちんと報告しなくちゃね。

 「六ヶ所村ラプソディー」の映画上映会を地元で開催して、大成功でした。原発賛成、反対、どちらからも丁寧に取材されて いて、鎌仲ひとみ監督は原発反対だけど、そのことを主張していないの。淡々と進行していく映画で、だから余計にすごみがあるっていうか、終わったあとは 「うわぁ・・・こうしちゃいられない」って思った。

 子どもたちの将来を思うと、いい機会じゃなかったけど、彼女と知り合えて本当によかったと思ってる。60歳を過ぎて、自 分の生き方はこうだ、とか、君はこういう生き方をしたほうがいい、とかちょっとえらぶったりして、自分を見失うときがある。でも、彼女は自分の生き方を人 に押し付けない。えらぶったりしない。話をして、気持ちのいい女性だなぁって思った。僕のほうがはるかに年上だけど、時々、こんな生き方っていいなぁ、と 思う人に出会うんだ。彼女とは生涯お付き合いしたいと思ったね。

 そうそう、打ち上げは豪華だったよ、食事が。すごいんだから。
三陸は海産物の質が素晴らしくて有名。そのなかでも、すごいのがでた。養殖棚の一番低いところに吊るしてある、牡蠣。水温が低くてあまり育たないらしいん だけど、逆にいうと、じっくり育ってあまりにも美味しいので、売り物にできないとまでいわれる牡蠣。5万個に100個の確立でしかできないんだとか。その ときは酔っ払って勢いづいちゃって「放射能海に流したら、こんなうまいもの喰えなくなるんだぞ!」って世の中の誰かに毒づきながら食べちゃった。

 僕は食べることが好き。だからおいしいものが口にはいらなくなることは、この上ない不幸。おいしいものを食べているとき は、幸せでしょ。世界中のいろんな料理がいつでもどこでも食べられるとか、そんな意味じゃなくて、豊かな土地や海、川で育ったものを、旬においしく食べる ことを未来にも残していかないと。
4月に僕たちが大騒ぎした六ヶ所村のことが、得意先でも上映会をしたいという引き合いを、今になっていただくようになった。時間をかけてでも、やらなくちゃ。

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