現在、八木澤商店は東日本大震災により、蔵・工場ともに全壊・流失いたしました。
以下の写真は、在りし日の八木澤商店の工場内です。今は自分たちの手でしょうゆを搾ることはかないませんが、一日も早くその日がやって来ることを願い日々精進してまいります。
鎌倉時代、禅僧が径山寺(きんざんじ)みその製法を宋の国より持ち帰ったのが起こり。桶にたまった液体の、あまりの香りの良さとうまさに、しょうゆはみその沈殿液から一人歩きを始めました。これが「たまりしょうゆ」 の始まりと言われています。しかし、しょうゆの原形である「醤(ひしお)」の淵源をたどると、それよりもはるかに古く飛鳥時代の「大宝律令」の記述に遡ることができます。しょうゆの香りになつかしさを覚えるのは、永い永い歴史に抱かれてきたからなんですね。
鎌倉時代、禅僧が径山寺(きんざんじ)みその製法を宋の国より持ち帰ったのが起こり。桶にたまった液体の、あまりの香りの良さとうまさに、しょうゆはみその沈殿液から一人歩きを始めました。これが「たまりしょうゆ」 の始まりと言われています。しかし、しょうゆの原形である「醤(ひしお)」の淵源をたどると、それよりもはるかに古く飛鳥時代の「大宝律令」の記述に遡ることができます。しょうゆの香りになつかしさを覚えるのは、永い永い歴史に抱かれてきたからなんですね。
大豆は蒸す前日から水に漬けておき、翌日水をきってから、約120℃の蒸気で蒸します。 銀色の圧力釜(写真下)は、蒸気を抜く際にくるくると回転します。
この圧力釜、実は工場の3階にあります。どうやって大豆を運ぶのか?バケツリレー?・・・・・さすがの八木澤商店もそこまではできません(泣)。風を送る機械で一気に圧力釜まで運びます。
蒸しあがった大豆の写真。蒸し具合を食味するのですが、これがまた素朴でウマイ。蒸しあがった香りがたちこめると、「ああ!10時の休憩時間になったんだな・・・。」と、時がわかります。
大豆の主成分であるたんぱく質が、麹菌のたんぱく分解酵素(プロテアーゼ)により分解され、しょうゆのうまみ成分であるアミノ酸を生みます。
■丸大豆(まるだいず)
しょうゆの原料として使われる大豆は2種類あります。丸粒のまま、まるごと使われる「丸大豆」と、油(脂肪分)を取り除いた「脱脂加工大豆」(←これは外国産がほとんど)。
八木澤商店の丸大豆は岩手県産。写真右は八木澤の大豆畑。しょうゆの原料だけでなく、「おらほの味噌」の原料にもなっているんですよ。
小麦は、大豆と混ぜ合わせる2日ほど前に作業を始めます。
かまどのような、暖炉のような機械(写真下)で炒って四つ割りにします。
炒った小麦はきれいなキツネ色。
とても香ばしい匂いがたちこめます。
工場見学にやってきた中学生、炒った小麦を試食してひと言、
「小麦に塩つけて食べたら、なんだかポップコーンみたいな味がする。」
いろんな感想がでてくるものですね。
小麦の主成分であるでんぷんが麹菌の酵素(アミラーゼ)の働きでブドウ糖にかわり、甘みとコクを生み出します。さらにブドウ糖が乳酸菌により乳酸や酢酸などの有機酸に変化し、塩辛さを和らげ、しょうゆの味をひきしめます。
ブドウ糖の一部がアルコールに変わり、香りを高める働きをします。
蒸し上がって、熱をとった大豆に炒って四つ割りにしておいた小麦と、種麹(たねこうじ)を加えます。
麹室(こうじむろ)と呼ばれる麹を造る部屋に大豆、小麦、種麹を混ぜた原料を送ります。
麹室にばら撒かれた原料を均し、30度前後の温度をあてて3日間かけて麹をつくります。
麹。ベージュ色がきれいでしょ。
麹を醗酵室に運びます。
別棟(醤油原料処理工場)での作業風景は工場見学でもなかなか見ることができない場面です。
麹に混ぜる食塩を水に溶かしているところ。
この作業は麹に混ぜる前日におこないます。
麹と塩水の割合は10対12くらい。
※十水仕込み「八木澤屋利兵衛の醤」は割合は10対10です。
木桶が並ぶ発酵室(つくり蔵)。
麹と塩水を混ぜたもろみを発酵させる部屋。
櫂入れ
もろみに櫂棒を入れて、ねじりながら上げて全体を混ぜる作業。
1つの木桶に対し、作業は1週間ごと。
つくり蔵には14の木桶があり、想像以上の重労働。
おまけに、ベテランじゃないと「様にならない」ムズカしい作業なんですよ。
もろみの発酵・熟成期間は、しょうゆの種類によってさまざまですが生揚醤油の場合、発酵に適した東北の夏を2度越します。
つくり蔵で静かにこぽこぽと発酵する音が聞こえるときがあります。
しょうゆ(のもと)も「生きているんだなぁ」と実感させられる瞬間です。
熟成させたもろみを麻布にのばし、平らにつつんで「ふね」と呼ぶ横長の木の桶に積み重ねて、上から梃子の重石をきかせます。
てこの丸太に重石を吊るし、その重みだけで圧しをかける搾り方です。香りに雑香りがまじらず、いい香りが漂います。